専門実践教育訓練給付金はこれからキャリアアップを目指す社会人必見の制度です。給付内容の引き上げや追加給付などにより、受講にかかる費用負担がより軽減できるようになりました。この記事では専門実践教育訓練給付金の受給方法や対象者について解説します。
専門実践教育訓練給付金とは
「専門実践教育訓練給付金」は、主体的で中長期的なキャリア形成の支援を目的とする教育訓練給付金制度です。従来あった「一般教育訓練給付(教育訓練給付金)」に加え、平成26年10月から「教育訓練支援給付金」と共に新たに創設されました。
平成30年1月からは給付率引き上げなどの制度拡充を行うことで、更に充実した制度となりました。
【最大168万円!】専門実践教育訓練給付金の支給額は?
「専門実践教育訓練給付金」の給付率は、一般教育訓練給付よりも高いです。
通常の給付に追加支給まで含めると、最大で受講費用の70%(年間上限56万円)が3年間、つまり最大168万円が給付されます。以下で詳しく解説します。
支給額
教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が、支給申請にもとづいて6か月ごとに支給されます。
給付期間は原則2年(資格の取得につながる場合は最大3年)です。
追加支給額
受講訓練の修了や資格取得をした後、その翌日から1年以内に一般被保険者等として雇用された場合は、追加で教育訓練経費の20%にあたる追加支給を受けられます。最大の合計支給額は、教育訓練経費の70%(年間上限56万円)です。
注意点
講座ごとの基準で定める訓練期間中に修了する見込みがない場合や、教育訓練を途中でやめると、それ以降の給付金は支給されないので注意が必要です。
専門実践教育訓練給付金の対象者は?
厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を修了した方、または受講中で修了見込みのある方のうち、以下に該当することが対象条件です。
受講開始日に在職中の方
雇用保険の被保険者(在職中)のうち、支給要件期間が3年(初めて教育訓練給付金を受給する場合は2年)以上ある方。
受講開始日に離職中の方
雇用保険の被保険者でない方(離職中)のうち、支給要件期間が3年(初めて教育訓練給付金を受給する場合は2年)以上あり、かつ、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内(対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)の方。
その他
※支給要件期間とは、受講開始日までに同一の事業主の適用事業に引き継いで被保険者等として雇用された期間を言います。
また、これより前に、ほかの事業所などで被保険者等であった期間も通算できる場合があります。この場合、被保険者資格の空白期間は1年以内であることが条件です。
※受講開始日とは、指定教育訓練実施者(学校など)が証明する開講日(通学制)や、教材などの発送日(通信制)です。
専門実践教育訓練給付金が支給されるまでの流れ
給付金支給についての情報や必要な申請書類は、全てハローワークへ確認、提出します。ここでは支給までの流れについて解説します。
訓練受講前
まず、受講したい訓練が厚生労働大臣の指定を受けているかなどの、受給資格や支給要件を確認します。対象の講座・スクールはこちらの検索システムから調べることもできます。
次に、ハローワークで「訓練前キャリア・コンサルティング」を受けると交付される「ジョブ・カード」などの必要書類を受講開始日の1か月前までに提出し、申請手続きを行います。
※必要書類(7点):教育訓練給付金および教育訓練支援給付金受給資格確認票、ジョブ・カード、本人・住居所確認書類、雇用保険被保険者証、教育訓練給付適用対象期間延長通知書、写真2枚、払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
訓練受講中
訓練期間中も支給金の受けとりが可能で、期間中6ヶ月ごとに支給申請を行います。6ヶ月間が終わった翌日から1ヶ月以内に、下記の書類をハローワークへ提出し、申請手続きを行います。
※必要書類(5点):教育訓練給付金の受給資格者証、教育訓練給付金支給申請書、受講証明書、領収書、返還金明細書
専門実践教育訓練修了後
専門実践教育訓練の受講修了後、その翌日から1ヶ月以内に下記の書類をハローワークへ提出し、申請手続きを行います。
※必要書類(5点):教育訓練給付金の受給資格者証、教育訓練給付金支給申請書、専門実践教育訓練修了証明書、領収書、返還金明細書
専門実践教育訓練給付金の対象資格・分野は?
「専門実践教育訓練給付金」は、専門的・実践的な訓練が対象です。ここでは、厚生労働大臣より指定のある対象資格・分野の一例をご紹介します。
業務独占資格・名称独占資格を目指す養成施設行われる訓練
介護福祉士、看護師、キャリアコンサルタント、保育士、美容師、栄養士、航空整備士、建築士など
職業実践専門課程
土木・建築、自動車整備、農業、医療、社会福祉、法律行政、デザイン、動物、スポーツなど
専門職大学院
高度専門職業人の養成を目的の課程
職業実践力育成プログラム
人文科学・人文、工学・工業、社会科学・社会、理学、農学・農業、保健、教育、商船、家政、芸術の正規過程および特別課程
情報通信技術に関する資格取得を目標とした課程
ITスキル標準(ITSS)において「要求された作業を全て独力で遂行する」ことができることとされているレベル3相当以上の資格取得を目標とする課程
第四次産業革命スキル習得講座
高度IT分野等、将来の成長が強く見込まれ、雇用創出に貢献する分野に関する社会人向けの専門的・実践的な教育訓練講座(ITスキル標準レベル4相当以上)として経済産業大臣が認定した課程
追加でもらえる?教育訓練支援給付金
専門実践教育訓練給付金を受給している方のうち、年齢や失業期間等一定の条件を満たしている場合、さらに「教育訓練支援給付金」が支給される可能性もあります。給付率は雇用保険の基本手当の日額に相当する額の80%です。自分が条件に当てはまるかどうか、ハローワークで確認してみましょう。
教育訓練支援給付金が申請できるのは令和6年度まで
教育訓練支援給付金は期限の決まっている制度です。平成26年の創設以降、二度の期限延長がありましたが、もう一度延長される保証はありません。現状は、専門実践訓練の受講開始日が令和7年4月1日以降の場合は支給されませんのでご注意ください。
専門実践教育訓練給付金を上手に活用しよう!
整備士不足と言われる昨今、これから自動車整備士を目指す方は、専門実践教育訓練給付金を活用するべきです。実際に多くの自動車大学校や専修学校のホームページでは、厚生労働省から指定された対象学科ごとに、支給額などをまとめています。
専門実践教育訓練給付金を上手に活用し金銭的な負担を減らせば、自動車整備士として活躍する道が開けます。
最後に
以上、専門実践教育訓練給付金の対象者や給付金を受給する方法についてご紹介しました。この記事を読まれた方は、自動車整備士は不足している?理由と現状について解説!も一読することをおすすめします。
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