2級自動車整備士は整備現場で最も必要とされる資格ですが、人により受験条件が違うので難易度の感じ方も変わります。この記事では2級自動車整備士資格の受験資格や難易度、合格率について詳しくご紹介します。
2級自動車整備士とは
2級自動車整備士は、3~1級の整備士資格の中で最も取得者数が多いです。3級自動車整備士は点検整備など、各装置の基本的な整備しか出来ない一方、2級自動車整備士になれば分解・整備・修理など一般的な整備全般を担当できます。整備士として長く働くのであれば、2級自動車整備士は持っておきたい資格です。
2級自動車整備士の年収
厚生労働省の「平成30年度賃金構造基本統計調査」で公開されている自動車整備士全体の年収は426.7万円です。2級自動車整備士のみに絞った場合、経験年数や年齢、就業先企業により大きく変動があるため一概には言えません。
弊社独自で把握している2級自動車整備士の年収アッパーは、おおよそ450~500万円ほどだと言えます。一部輸入車ディーラーに勤める人の中には、年収800万円前後の2級自動車整備士もいるようです。
2級自動車整備士資格の業務内容
2級自動車整備士資格は「2級ガソリン自動車整備士」「2級ジーゼル自動車整備士」「2級二輪自動車整備士」「2級自動車シャシ整備士」の4つがあり、それぞれガソリン車・分解整備・二輪車・シャシの整備など、扱う業務や車種が違います。そのため並列して複数の資格を取得している人も多いです。
以下で、それぞれ詳しくご説明します。
※自動車検査員の受験には、2級ジーゼル自動車整備士もしくは2級ガソリン自動車整備士の資格が必要です。
2級ガソリン自動車整備士
2級自動車整備士資格の中で一番多く受験されるのが、2級ガソリン自動車整備士です。普通自動車、四輪・三輪の小型自動車や軽自動車のうち、ガソリンエンジンで動く自動車の一般的な整備を行えます。
足回りやエンジンの分解整備などの3級ガソリン自動車整備士では行えない作業、ジーゼル自動車やシャシの整備も出来ます。
2級ジーゼル自動車整備士
2級ジーゼル自動車整備士は、普通自動車、四輪・三輪の小型自動車や軽自動車のうち、ジーゼルエンジンで動く自動車の一般的な整備を行います。
エンジンや足回りの分解整備など、3級ジーゼル自動車整備士では行えない作業を担当します。2級ガソリン整備士もジーゼル車の整備を担当できますが、専門的な知識を身につけるには2級ジーゼル自動車整備士資格が優位です。
2級二輪自動車整備士
原動機付自転車や二輪自動車(オートバイ)の一般的な整備を行えるのが2級二輪自動車整備士です。二輪自動車整備士の中で、2級が最も上位資格です。
※1級二輪自動車整備士資格試験は現在まで一度も行われていません。
2級自動車シャシ整備士
2級自動車シャシ整備士は普通自動車、四輪・三輪の小型自動車や軽自動車のうち、シャシ部分の(ボディやエンジンを除いた)一般整備が行えます。3級ジーゼル自動車整備士では行えない、足回りやエンジン分解整備を含まれます。
2級自動車整備士の資格試験
2級自動車整備士資格の試験内容には、学科試験と実技試験があります。学科試験は「構造・機能と取り扱い方法の一般知識」「点検・修理・調整完成検査の方法」など、整備士の基本的な技能や手法について6つの分野から出題されます。
学科試験に合格すると受験できる実技試験では、工具や計量器の取り扱い、点検や分解、完成後の検査など一般的なものが出されます。
2級自動車整備士資格の試験日
2級自動車整備士技能登録試験日は年に2回行われ、おおよその実施日が決まっています。筆記試験は10月1週目もしくは2週目の日曜日(第1回)と、3月3週目もしくは4週目の日曜日(第2回)に行われます。
実技試験が実施されるのは、1月2週目もしくは3週目の日曜日(第1回)と、8月3週目もしくは4週目の日曜日(第2回)です。実技試験は資格の種類によって開催年度に違いがあるので気をつけてください。
2級自動車整備士資格試験の合格率
2級自動車整備士資格の合格率は、種類により差が出ます。ガソリンとジーゼルは40~90%と年により大きく変動がある一方、二輪やシャシは安定してそれぞれ70%、90%の合格率を出しています。平成29~30年度の学科試験合格率は、ガソリン88.2%、ジーゼル91.9%、二輪71.1%、シャシ89.6%です。
実技試験は実施されない年もありますが、毎年およそ20~30%の合格率であることが多いです。3級より2級の合格率が高いのは、2級を受験するのは自動車整備士学校で十分な教育を受けている学生が多く、3級は学校に通わず独学で受験する人、働きながらで十分な勉強時間を得られず受験する人が多いことが、理由の一つとして考えられます。
2級自動車整備士資格試験の過去問題
2級自動車整備士資格試験の内容はどのようなものでしょうか?ここでは2級ガソリン自動車整備士試験の過去問を例に出して解説致します。
問題
図に示すバルブ・タイミングで下記に示す諸元の4サイクル・エンジンにおいて,バルブのオーバラップとして,適切なものは次のうちどれか。:インレット・バルブの開いている角度 244°、エキゾースト・バルブの開いている角度 242°
解答
(1)12°
(2)13°
(3)25°
(4)101°他の問題やジーゼル、二輪、シャシについても気になる方は、こちらから過去問をご覧ください。
2級自動車整備士の受験資格
2級自動車整備士試験を受けるには、「3級自動車整備士資格の取得」が第一です。3級取得後に「実務経験」を積むことで、2級受験の条件を満たせます。実務経験の必要年数は資格の種類や卒業学校により異なるので、以下で解説します。
※実務経験として認められるには、職場が「指定工場」や「認証工場」である必要があります。ガソリン・ジーゼル・二輪自動車整備士
・機械関係学科(高校)卒業:3級合格後、3級合格後、2年以上の実務経験
・自動車関係学科(高校・大学)卒業:3級合格後、2年以上の実務経験
・機械関係学科(大学・専門)卒業:3級合格後、1年6ヶ月以上の実務経験
・上記以外の学校卒業:3級合格後、3年以上の実務経験シャシ整備士
・機械関係学科(高校)卒業:3級合格後、3級合格後、1年6ヶ月以上の実務経験
・自動車関係学科(高校・大学)卒業:3級合格後、1年6ヶ月以上の実務経験
・機械関係学科(大学・専門)卒業:3級合格後、1年以上の実務経験
・上記以外の学校卒業:3級(または車体、タイヤ)合格後、2年以上の実務経験その他
自動車整備の専門学校で「2級整備士課程」を修了することで、卒業と同時に受験資格が付与され、最短期間で資格が取れます。また各都道府県の自動車整備振興会技術講習所や、一種養成施設で講習を受けると、実技試験が免除されます。
まとめ
2級自動車整備士資格を取るには、3級自動車整備士資格取得と実務経験を積むことが前提となるため、経験のない人にとっては難易度が高いです。一方で、専門学校や講習を受けることでハードルは下げられます。
整備士不足が課題となっている今、知識と実務経験を積んだ2級整備士が即戦力になることは間違いありません。希望する企業に入るうえで圧倒的に有利なので、ぜひ目指してください。
最後に
以上、2級自動車整備士資格の難易度や合格率、受験資格についてご紹介しました。この記事を読まれた方は、自動車整備士の仕事内容と求められる能力も一読することをおすすめします。
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