旧車を蘇らせるレストア技術者は、自動車整備士の中でも特殊な仕事です。そもそもどんな仕事なの?どんな資格が必要?そんな疑問を解決するべく、この記事ではレストア技術者について解説していきます。
レストア技術者の仕事内容
近年、Netflixのドキュメンタリー等でも人気のレストアですが、具体的な仕事内容については馴染みがないと思います。この章ではロマンの詰まったレストア技術者という仕事について解説していきます。
30秒でわかる!レストア技術者の仕事内容
restore(レストア)とは回復する・復活するといった意味をもつ言葉です。その言葉の通り、レストア技術者とは廃車寸前の車や中古車が公道を走れるように復活させたり、クラシックカーなどの現在生産されていない車を新車のように調整・組立てしたりする仕事です。
車を一から組み上げる事も多く、車業界のアーティストと言い換えることもできるでしょう。
いわゆる整備士の仕事とは違い、車の損傷具合によって失われたパーツを作ったり、内装や板金塗装なども手掛けることもあり、多岐に渡る技術が必要になります。
レストア技術者はどんな場所で働くの?
主な就職先としてはレストア専門店、レストアも手がける整備工場、中古車販売店などがあります。
レストア専門店は様々な専門がある事が多く、人気のレストア車ばかりを取り扱う会社や、国産の旧車、輸入車の旧車専門などがあります。仕入れた車を売るためにレストアを行う事が多いレストア専門店に対し、整備工場では持ち込まれた車をレストアする事が多いです。
会社によって取り扱う車の傾向も違えば、レストアを一から行う事がメインの会社、レストアされた車を整備・改造する事が多い会社等、一口にレストアと言っても業務内容が大きく異なります。やりたい仕事に合わせて職場を選びましょう。
レストア技術者になる方法は?
レストア技術者の求人の数は非常に少なく、人気が高いです。レストア技術者として働きたい場合、通常の整備士の転職活動よりも長期的な活動が必要になるでしょう。
求人が出たらすぐに応募できるように、こまめに転職サイトや求人情報を検索しましょう。「レストア」以外に、「クラシックカー」などでも検索するとより広い範囲で求人を探せます。また、自宅から通える距離にレストアを扱っている工場があれば、直接採用活動を行っているか聞いてみるのも手です。
どうしても求人が見つからない場合は、転職エージェントの手も借りてみましょう。全国の求人情報から条件を満たすものを探してくれますし、面接や書類作成のサポートも期待でき、内定の確率が上がります。
レストア技術者に必要な要素
資格だけでは表せない技術が必要になるレストア技術者。この章ではどんなスキルが必要かを解説していきます。
あなたは車が好き?それとも、車の分解組み立てが好き?
レストア技術者は車が好きな人が多いです。それも、一般的な乗用車ではなく、ロマンを感じるクラシックカーや外国の車を好きな人がほとんどでしょう。レストアをする上では、旧車の種類や歴史に詳しい事も武器になります。
また、古い車を復元する仕事となりますので、廃車同然の車や古い車を分解して部品のみ取る場面や、集めた部品を一から組み上げる場面が多々出てきます。ですので、車の分解組み立てが好き・得意という事も大きな強みです。
逆に、車に興味がなく、車の分解組み立ても好き・得意ではない方にはおすすめできない仕事と言えるでしょう。
失われたパーツを創りだす想像力と器用さが必要
旧車を扱う際には、必要なパーツが市場にないことも。そんなときは、自分でパーツを作ることから始めなければならない場合もあります。失われたパーツの形を想像し、機能や外観を損なわないように作りだす力は非常に役に立ちます。
レストア技術者には丁寧さが大切
普通の自動車部品に比べ、レストア技術者が扱う部品は単価が高く、すぐに手に入らないものもあるため、取り扱いに注意が必要な事も多いです。ですので、何より丁寧さが求められる仕事となります。
ですが、丁寧に扱うという基本的な部分は、車に纏わる人々や歴史にリスペクトを持っている車好きな人にとっては、意識する必要もない部分かもしれません。
レストア技術者に必要な資格
レストア技術者にはどのような資格が必要なのでしょうか?この章では資格について解説いたします。
レストア技術者に必須な資格は?
レストア技術者に必要不可欠な資格はありませんが、ほとんどの技術者が自動車整備士2級以上を取得しています。自動車整備士資格の勉強をする上でレストアに必要な知識や技術も多々手に入りますから、できれば取得しておく方が無難でしょう。
レストア技術者にあれば役に立つ資格・スキル
これまでに述べた通り、レストア技術者は車全体を組み上げる事も多々ある仕事です。自動車整備士としての資格やスキルに加え、塗装・鈑金に関する知識や技術、車の基本構造に関する知識、電気系統に関する知識・技術などは特に役に立つ場面が多いでしょう。
必要とされる技術の幅が広いですから、自動車整備士としての経験が浅くとも、他の技術や経験で補う事によりレストア技術者となれる場合もあります。
レストア技術者の年収、待遇は?
この章では気になるレストア技術者の年収や待遇について解説します!
レストア技術者の年収について解説!
レストア技術者のみの年収は調査されていませんが、自動車整備士と同程度であると考えると平均367万円(引用:「賃金構造基本統計調査:職種別」独立行政法人労働政策研究・研修機構)ほどになります。
もちろん、より専門的な技術・経験をもったレストア技術者の中にはこの金額より給与が高い人もいるでしょう。
レストア技術者は世界で通用する技術?
近年、Netflixやアメリカのケーブルテレビの作成するドキュメンタリー番組がきっかけで、レストアに対する注目度が世界的にアップしています。
また、レストア技術者は自動車整備関連職種の中でも技術が高いとされる事が多く、海外で働く際にビザが下りやすかったり、青年海外協力隊に応募出来たりと世界への足がかりとなる技術です。
国内でレストア技術と経験を積めば、海外でレストア技術者として活躍する事も将来的には可能でしょう。
まとめ
レストア技術者は、自動車整備士の技術はもちろん、鈑金・塗装や、手に入らないパーツを作り直す技術など、多様な技術を求められます。また、希少であったり高価なパーツを扱うことが多いため、丁寧さも重要になるでしょう。
必須の資格はありませんが、車を修理したり組み立てることが多い以上、自動車整備士資格は取得しておくと役に立ちそうです。
レストアに関わる仕事は、整備の仕事に比べて求人数が少なくなっています。これからレストア技術者として働きたい場合は、こまめに求人情報を確認し、いつでも応募できるように準備しておきましょう。
最後に
以上、レストア技術者の仕事の内容や魅力についてご紹介しました。この記事を読まれた方は、未経験からレースメカニック(F1メカニック)になるには?も一読することをおすすめします。
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