「ガス溶接」はいろいろな作業現場で利用します。自動車整備士業務ではアーク溶接に劣るものの使う機会があり、取得の難易度も高くないため資格を取っておくべきです。
この記事では一般的な溶接方法のうち、基本技術として代表的な「ガス溶接」資格の種類・業務内容について解説します。
ガス溶接とは?
金属を加熱して溶接する手法のうち、ガスを使用するのが「ガス溶接」です。一般的にはLPGやアセチレンなどの可燃性ガスと酵素により発生した燃焼熱を利用し、金属同士の溶接・溶断・結合を行います。
以下、ガス溶接のメリットとデメリットについて「アーク溶接」と比較して説明します。
ガス溶接のメリット
ガス溶接はアーク溶接のように火花が散らず、溶接時に接合箇所が見やすいです。作業を確認しながら進めるため、溶接不良などのミスが減ります。
また、ガスの供給量の制御が簡単で加熱にかかる時間が長いため、温度調整がしやすいです。低い温度で溶け出す金属や高熱耐性がないもの、薄く割れやすい金属の結合に向いています。
ガス溶接のデメリット
作業効率などを考えた場合、ガス溶接の長い加熱・溶融時間はデメリットです。また、必要のない範囲まで加熱をしてしまう恐れがあるためピンポイントでの加熱には不向きで、ひずみが発生することも多いです。
ガス溶接資格の種類は?
ガス溶接作業ができる資格は、大きく2種類です。以下でご紹介します。
ガス溶接技能者
「ガス溶接技能者」は、ガス溶接技能講習と呼ばれる学科と実技からなる2日間の講習と、終了考査を受けることで取得できる国家資格です。すべての溶接資格のうち初歩的な資格であるため、溶接の仕事をこれからはじめたい方はまずこちらを取得してください。
併せて「アーク溶接作業者」も取得しておくと幅広い溶接業務を担当できます。
ガス溶接作業主任者
「ガス溶接作業主任者」はガス溶接の実務経験を3年以上積むと受験できる、「ガス溶接技能者」からの発展的な資格です。高度な知識を得られるため、現場責任者や指導者として活躍できます。
長年溶接の仕事をやっていて、より専門的に学びたい方に向いています。
ガス溶接技能講習の内容は?
ガス溶接技能講習では、学科8時間・実技5時間の計13時間の講習を2日間に分けて行います。内容と時間の内訳は以下の通りです。
学科
・ガス溶接等の業務のために使用する設備の構造及び取扱い方法に関する知識…4時間
・ガス溶接等の業務のために使用する可燃性ガス及び酸素に関する知識…3時間
・関係法令…1時間
実技
・ガス溶接等の業務のために使用する設備の取扱い …5時間
ガス溶接資格を使う場面は?
自動車整備において、ガス溶接はマフラーなどの薄い金属でできたパーツを修理したり、新しく作ったりするときに使用します。また、パーツをガスで切断する場合にも必要になります。
ガス溶接の手順
ガス溶接の手順は「ガス溶接装置の準備」「ガス溶接作業の準備」「ガス溶接作業」「消火」の流れです。それぞれ順にご紹介します。
ガス溶接装置の準備
ガス溶接装置の準備手順は、以下の4つです。
①作業前点検を行ったあと、ガスボンベを準備します。
②各ボンベへ取り付けられている器機(調整器・溶接トーチ・ガスホース)の状態をチェックし、圧力調整器でガスの残量を確認します。
③ガス圧調整バルブを基準通り設定し、ガス漏れがないことを確認します。
④トーチへの点火前にバルブをわずかに開き、ガスの噴出を確認します。
※ガスボンベは必ず立てた状態で使用します。
ガス溶接作業の準備
ガス溶接作業の準備手順は、以下の4つです。
①保護具や遮光メガネを装着します。
②トーチのバルブをわずかに開き、専用ライターで火口先端に点火します。
③酸素ボンベのバルブを開き、火の大きさを標準炎に調整します。
④「試し加熱」を行いながら、適した火炎に調整します。
ガス溶接作業
ガス溶接の作業手順は、以下の3つです。
①溶接したい金属部材をセットします。
②トーチへの点火後、接合部の両端を溶融し固定します。
③目的箇所を順に溶接していきます。
消火
消火手順は、以下の2つです。
①まず、酸素ボンベのバルブを閉めます
②次に、ガスボンベの順でバルブを閉めます。
※先にガスボンベのバルブを閉めると、爆発事故に繋がる恐れがあります。
最後に
以上、ガス溶接の業務手順や資格取得方法についてご紹介しました。この記事を読まれた方は、自動車整備士の仕事内容と求められる能力も一読することをおすすめします。
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