自動車整備士は車を整備する仕事です。公道を見渡してもわかるように、車は現代の生活にかかせない重要なインフラです。そんな車を整備する自動車整備士が不足しているというのは本当でしょうか?この記事では自動車整備士の不足問題について解説致します。
自動車整備士は不足している?
自動車整備士は本当に不足しているのでしょうか?この記事では自動車整備士の不足について解説致します。
自動車整備士はどのくらい不足しているの?
日本自動車整備振興会連合会という自動車整備士団体が、自動車整備士の不足事情について調査しています。
日本自動車整備振興会連合会の調べによると、2013年度から2023年度の10年間で整備士の数は11955人も減少したようです。一方、整備工場の数は年度毎に多少の上下はありますが、ほとんど横這いで推移しています。このことから、整備士の数が減ってしまった整備工場が多くあることがわかります。
また、整備士の不足具合は有効求人倍率にも現れています。厚生労働省によると、令和4年度の自動車整備士の有効求人倍率は5.02倍でした。同年度の平均有効求人倍率は1.31倍であり、約3.8倍もの数値となっています。
これらの状況は、自動車がインフラの一種である以上、非常に深刻な問題といえます。整備士がいなくなると誰も車を運転できなくなるため、物流などにも大きな影響が出てしまいます。
自動車整備士不足の原因は?
自動車整備士不足の原因は大きく分けて3つあります。
1つ目は若年人口の減少です。若年人口が減少しているということは、新卒で新しく自動車整備士になる人よりも定年退職する人の方が多くなるため、整備士はどんどん減っていきます。
2つ目は若年層の車離れです。80年代、90年代の若者に車が人気であったことに比べ、近年の若年層は車を持たない人も増えてきています。そのため、必然的に自動車や自動車整備士に興味の無い若者が増え、自動車整備士を目指す人が減っているのが現状です。
3つ目は離職率の高さです。自動車整備士は体力仕事であり、腰を痛めたり、体力が衰えたりしたことがきっかけで自動車整備士を離職する人が多いという現実があります。
自動車の保有台数は増加傾向
若年層が車離れしていると上述しましたが、実は自動車の保有台数は年々上昇傾向にあります。乗用車・貨物車・乗合車・特種(殊)用途車・二輪車の合計保有台数は、10年前に比べて約283万台増加しており、乗用車・貨物車・乗合車だけでも約225万台ほど増加しています。(引用:自動車保有台数の推移/自動車検査登録情報協会)
車離れと矛盾するようですが、新車販売台数は逆に年々減少しています。近年の車は、技術の進歩によって壊れにくくなっており、廃車になるまでの年数が延びていることから、新車が売れなくても保有台数が増えるという現象が起こっているようです。
保有台数、特に古い車の台数が増えているということは、整備の必要な車が増えているということでもあります。自動車整備士は減っているのに、整備が必要な車は増えているため、相対的に自動車整備士の不足が深刻化しています。
自動車整備士不足は対策されているの?
前の章で自動車整備士が不足している現状や、不足している理由は説明しました。それでは自動車整備士の不足を解消するための対策は取られているのでしょうか?この記事では自動車整備士不足の対策について説明致します。
給料や待遇は改善傾向!年収は特に増加中
前の章でも触れた通り、自動車整備士は現状非常に不足しています。もちろん、どの企業も必要な人材が確保できないことを非常に大きな問題ととらえていますので、給料・待遇ともに積極的な改善をしている企業が多いです。休日を増やしたり、身体への負担を減らすために設備や機材を充実させる努力をしている企業も増えています。
特に給料に関しては、日本自動車整備振興会連合会による調査でも、年々上昇していることが見て取れます。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
平均年収 | 391万円 | 392万円 | 396万円 | 399万円 | 404万円 | 417万円 |
(引用:自動車分解整備業実態調査結果概要/日本自動車整備振興会連合会)
6年連続で給料が上昇しているのは嬉しい結果ですね。2022~2023年では特に大きく増加しています。今後も給料は上がっていくことが見込まれるでしょう。
国による人材確保対策も
国土交通省は自動車整備士不足を解消するため、2014年に『自動車整備士人材確保・育成推進協議会』を発足させました。これは、整備士を増やすため、労働環境や待遇を向上させようという取り組みです。
自動車整備士をPRしたり、イベントの開催・中高生の職場体験やインターンシップを併せて行い、自動車整備士の地位向上に努めています。
最後に
以上、自動車整備士の魅力ややりがい・将来性についてご紹介しました。この記事を読まれた方は、2級自動車整備士資格とは?難易度や合格率・受験資格も解説!も一読することをおすすめします。
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